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3.油脂の構造と保健機能に関する研究

  油脂の構造、特に脂肪酸の構造が生体へ与える影響に関して研究を行っています。


内容

  油脂は三大栄養素の一つです。そして油脂は主にグリセリンと脂肪酸で構成されています。脂肪酸は、飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に大きく分類され、それぞれの脂肪酸が生体中で大切な役割を果たしています。たとえば、
@魚油に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)は、脳中の主たる脂肪酸であり、乳児のDHA摂取は脳の発達のためには非常に大切な問題です。
A母乳中のパルミチン酸(飽和脂肪酸)は、主にβ位(2.トリアシルグリセロールの異性体分析方法の開発の項を参照)に結合しており、乳児のエネルギー獲得に重要な役割を果たしています。
B魚油に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)は血中中性脂肪濃度を減少させることができ、そのエチルエステルは、血中中性脂肪低下剤として薬品としても使用されています。 

  食品保全化学研究室では、脂肪酸の構造とその保健機能、代謝性に関して研究を行っています。たとえば、生体内でEPAからDHAが合成される過程で生成するドコサペンタエン酸(DPA)は、アザラシ油の中に多く含まれることは知られていましたが、その保健機能に関して調べた研究はありませんでした。そこで、DPAをマウスへ投与し、その保健機能をEPAとDHAとの比較で精査した結果、その効果は、すべてにおいてEPAとDHAの間であることを確認することができました。

N. Gotoh, K. Nagao, S. Onoda, B. Shirouchi, K. Furuya, T. Nagai, H. Mizobe, K. Ichioka, H. Watanabe, T. Yanagita, and S. Wada, Effects of three different highly purified n-3 series highly unsaturated fatty acids on lipid metabolism in C57BL/KsJ-db/db mice. J. Agri. Food Chem. 57, 11047-11054 (2009). [Abstract]


  天然界に存在する脂肪酸のほとんどは偶数個の炭素で構成(偶数鎖脂肪酸)されていますが、反芻動物や魚介類の油脂中には、奇数個の炭素で構成(奇数鎖脂肪酸)される脂肪酸も含まれています。そこで、安定同位体ラベル化した奇数鎖および偶数鎖脂肪酸を合成し、マウスへ投与した結果、奇数鎖脂肪酸は偶数鎖脂肪酸と比較してほとんど体内でβ酸化されず、体内臓器や組織へ蓄積することを確認しました。

N. Gotoh, T. Nagai, K. Yoshinaga, H. Mizobe, and H. Watanabe, Comparison of catabolic rates of fatty acids using stable isotope and isotope-ratio mass spectrometry. Lipid Tech. 25, 110-112 (2013) [Abstract].

R. Shibata, N. Gotoh, A. Kubo, J. Kanda, T. Nagai, H. Mizobe, K. Yoshinaga, K. Kojima, H. Watanabe, and S. Wada, Comparison of catabolism rate of fatty acids to carbon dioxide in mice. Eur. J. Lipid Sci. Tech.,(2012) accepted.[Abstract]

N. Gotoh, K. Moroda, H. Watanabe, K. Yoshinaga, M. Tanaka, H. Mizobe, K. Ichioka, S. Tokairin, and S. Wada, Metabolism of odd-numbered fatty acids and even-numbered fatty acids in mouse. J. Oleo Sci. 57, 293-299 (2008) [Paper (pdf)]

  食品保全化学研究室ではこのほかの油脂の保健機能に関しても研究を行っています。